リチャード・フォーク(国連パレスチナ人権特別報告官)
パレスチナ囚人の事例は、長引く占領の耐えがたい残酷の小宇宙だ。2012年02月19日
世界は、その凝視の下、悲劇が展開するのを見る。ハデル・アドナーンは、裁判も刑事告発もなく、彼に対するいかなる証拠の提示もないまま、行政勾留命令下に捕われ、イスラエル刑務所でハンガーストライカーとして61日目に入っている。
真夜中 - 妻と幼い娘たちの面前での - 残忍な逮捕当初から、彼は、全く不法で道義的に弁解不能な、非人道的で貶める扱いの類いに曝された。唯一の正当化は、弾圧的占領支配の下、45年間生きてきたパレスチナ人を、恐れさせることでないまでも、脅かすことだ。この占領は、国際人道法 - ことさら、新住宅が、エルサレムと西岸を囲む丘の頂上に点在する植民地的入植地に加えられるごとに侵害される彼らの自決権 - の下のパレスチナ人の権利を継続的に削り取る。
ハデル・アドナーンの事例は、長引く占領の耐えがたい残酷を啓示する小宇宙だ。それは、イスラエル囚人の尊厳と、法廷判決あるいは行政命令を通し、イスラエル刑務所で衰えていくパレスチナ人何千人もの虐待に留意することの断固とした拒絶の間の、西側の対比を描き出す。
アドナーン氏の父親は、数日前、ハマースにより数年間捕虜となり、最近良好な健康状態で解放されたイスラエル兵、ギラード・シャーリトに言及し、辛辣にこの対比を強調した:「ギラード・シャーリトの母親と父親はどこにいるのか? 彼らは、この人道主義的事件でわたしに同情しないのだろうか? 彼らはどこにいるのか?」彼は、この比較をさらに描き出した:「わたしの息子は、自宅から、妻と子どもたちの前から逮捕され、囚人とされた。彼は、いかなる武器も持っていなかった。シャーリトはガザの人びとと戦っており、彼らの家屋を破壊し、彼らに発砲していたのに、シャーリトは解放された」。
外国の権力者たちは、国連事務局長以下、シャーリトの健康を心配していたイスラエル人により経験された苦悩に、彼らの感情移入を示したが、これら同じ個性(権力者たち)が、明らかに死に向かうアドナーン氏の拘束の形態に、わたしたちの目の前で経験されるはるかに注目せずにいられない過酷な試練に明白に沈黙することは、真実である。IRAのハンガーストライカーたちの残存する家族たちが、アドナーン氏への連帯表明に向けて踏み出し、アイルランド人の抵抗の経験をパレスチナ人のそれと比較することは驚くべきことでない。
(略)
最後に、この種の事件に於ける行政拘留に関してイスラエルによる依存は、ジュネーヴ条約の観点から、ことさら、そうした投獄の法律を逸脱する形態の使用を、切迫したセキュリティの理由で是認するとしても、そのような例外的状況の開示がないとき、完全に受け入れがたい。現在、アドナーン氏と同様の手法で捕らえられているパレスチナ人、少なくとも300人がいて、したがって、パレスチナ人の間の共感のハンガーストライキが、連帯の表明として進み出すのは不思議でない。
わたしたちは、そうした国家の野蛮をアウトローとすべき、人権を理解する段階に到達していなかったのか? ハデル・アドナーンの荘厳な経験が、彼の死で終わらせないよう望み、行政勾留と囚人虐待のどちらに対しても、世界的抗議を引き起こすことを、さらに望もう。パレスチナ民衆は既に、充分以上に被ってきた。
全文:
AlJazeera
posted by mizya at 00:13|
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